HFE−7100

クリーニング業界では まだあまり知られていない ほとんど実用されていない溶剤
HFEを満を持して導入 稼動する事になりました。

まずは 「めでたし めでたし。」

2005年 輝ける未来と信じていた 21世紀が始まって すでに5年が経過し
経済産業省的には 経済は上向きになっているといわれていたけど
一般社会での感覚は デフレ志向で どれだけ安く賄う事が出来るかという事に
切磋琢磨している日々が実情であり 当社もその例に洩れる事なく顧客のその要求に答えるため
生産性の向上やら 仕入れ努力やら 人件費節減やら そこそこの改革的な事を
行なっていました。

そんな ある日 私の脳に「神が光臨!」し というような事実はまったくなく
平凡な毎日の積み重ねの中 以前から解決したいが これといった解決策もなく
漠然とどうにかならないものかと思っていた事があります。

1.難洗衣料 2.高級と風合い

簡単にまとめると こんな風な事です。いたって真面目に捉えています。
1の難洗衣料という定義は 一般の方々には理解されていない部分なんですが
同業者の人は すぐに 2.3種類の素材を言う事が出来ます。
ひとつ例をあげると 「カシミア100%のセーターにポリウレタン樹脂が大きく張り付いてた」と
します。

ある意味 非常に大胆な組み合わせで 洋服としては特殊で高価な値段で
消費者は購入する事になると思われます。

が、それを汚してしまい 洗いたいと思ったところから大きな問題が生まれます。
クリーニング屋さん的には 「アホとちゃうか!なんやねん、この服」状態です。

と いうのも 見た目その服が最良のカップリングだったとしても
実は最悪の末路を迎える可能性があるカップリングなんですね。

選択肢は二通り ドライクリーニングするか 水洗いするか
どちらも 覚悟が必要になります。
一般消費者の感覚でいうと どちらで洗ってくれてもいいので
綺麗にして欲しいという事になるんでしょう まぁその気持ちはよく理解できます。
しかし このカップリングは・・・

どのウール製品にでもいえる事のひとつとして 高温で長時間乾燥する事は
性質上回避するべきことであるが ポリウレタン樹脂の場合 石油溶剤の残留で
起こる化学ヤケドは避ける為にも完全乾燥は必要である。
水洗の場合ばカシミアなどの衣類を単純に水洗機で回す事は衣類の形状を破壊してしまうわけで
そのため 手洗いとなるが出来上がりの風合いが洗う前と事なる事は往々としてありうる。
ポリウレタン樹脂は特に水に対する影響は少ないと思うが 必ずといっていいほど
品質表示は水洗い×である。

ざっと説明すると こんな感じで 「洗濯のプロだろ」と言われて リスク覚悟で
洗濯後乾燥室等を使用して 乾燥時間や温度をコントロールし そこそこの風合いを
出すしかない。

正直しんどい。これが実感である。

仕事がしんどいのはあたりまえだが、アパレルの販売後「後はご勝手に」という姿勢の
後始末をするのが正直しんどいということです。

今回例に出した物を含め そんな衣類ゴロゴロあります。地雷の道を歩いている
大げさにいえば そんな感じで それを一くくりにした言葉を 「難洗衣料」という言葉で表現してみました。

それで、次の話ですが「高級って、何んなのか」 単純に言うと 高いお金を支払うことになるわけですが
そうでも なかったりします。 この高級に対する価値基準は かなりあいまいで
その人にとっての 大切度数といいますか、 愛着度数といいますか の・ようなものなんです
「20世紀は大量生産、大量消費の時代であったとするなら 21世紀は感性の時代である」と
ある著名な方がいっておられましたが 感性の時代としか表現する事が出来ないという事は
あるヒット商品を生み出すには つまるところ 固定観念抜きにして やってみんとわからん時代
だという事でもあるんですよね。

そういう 感性という意味では衣類に対する 高級品は必ずしもヨーロッパブランドだけではない
つまり 高級=大切とならない 可能性まであるのですね。
簡単な例だと 古着屋で見つけた服が その人にとって異常に愛着があり 大切だったとすると
それを クリーニングする我々は今までの尺度では 測れない部分という事になるわけです。
もっとも ややこしくなるのが かりにその古着を弁償しなければ ならない状態になったとすると
製造年数から 割り出される価値基準では納得いきませんと 消費者の方は思うことになるんでしょうね。

風合いという 定義についても同じような事がいえます。その人にとっての風合いは その衣類を
購入する 直前に1番確認するわけですが この言葉ではどうにも表現できない事をあえて
表現するなら
ヌメリ感が・・ とか シットリ感が・・ とか ザラつき感が・・ とか ツルツル感が・・
フンワリ感が・・ とか カッチリ感が・・ とか
まだまだ書けますが 読み疲れ起こすといけないので 止めときます。
それで まぁ 何がいいたいかというと そんな風合いだったと 消費者から
言われた時に感ずる ?チックな難問にどう答えるか なんですね。   

それで、そういう消費者との大きな溝の部分をどうやって 埋めていくのか
これが 前々からの動機となる部分であり 今回その答えらしい 答えの部分を
ようやく提案出来 その解決に進みだす 決意をしたわけです。

そしてここからが やっと本題です。

選択肢を増やす。

結論からいうと 洗い方の 基礎となる部分の選択肢を増やす事が 
今回の決意の全てといってもいいのです。
世の中のクリーニング店で現在主流となっているのは 石油系ドライクリーニングと
水で洗うクリーニングの 2つです。我々もこの2つが これまでの洗いの基礎の部分であり
この2種類の方法で 衣類の全てを洗ってきたわけです。
しかし 品質の多様化が進む現在の衣類には 上記の問題を解決するためにも 
第3の選択肢の必要性を強く感じていたのです。
そして その第3の選択になったのが
HFE−7100という 溶剤だったのです。





後編に続く